対処法
冬になると猛威をふるうノロウイルス。ノロウイルスは、感染し発症すると急激なおう吐や下痢が続きます。ノロウイルス感染リスクを減らし、この冬を安心して過ごしていただくために、家庭で出来る対処法についてご紹介いたします。
おう吐物などを適切に処理する*
ふん便や吐ぶつで汚れた場合には、目で汚れが見える範囲以上にウイルスが飛散しているため、感染拡大を防ぐためにも迅速、確実に対処しましょう。
必ず換気し、使い捨てのガウン(エプロン)、マスクと手袋を着用し汚物中のウイルスが飛び散らないように、ふん便、吐ぶつをペーパータオル等で外側から内側へ向けて静かに拭き取ります。
拭き取った後は、0.02%次亜塩素酸ナトリウムで浸すように床を拭き取り、その後水拭きを行います。
使用した使い捨てのペーパータオル等は、すぐにビニール袋に入れて処分します。ビニール袋に廃棄物が充分に浸る程度の0.1%次亜塩素酸ナトリウムを入れて消毒するのが良いでしょう。
ふん便や吐ぶつで汚れた衣類等はビニール袋に入れ、他の洗濯物とは別に洗濯します。漂白が可能なものは、汚物を十分に落とした後0.02%次亜塩素酸ナトリウムで消毒してから洗濯します。
膝をついて床を拭いた場合には、膝にもウイルスが付着します。作業後のスリッパ等の裏にもウイルスが付着している可能性がありますので、作業時に着ている服やスリッパも汚染物としてビニール袋に入れ、消毒する必要があります。『目で見える汚染範囲以上の消毒が必要』であることの認識が大切です。
処理した後は、ウイルスを室内に滞留させることのないように大きく窓を開けるなどして室内に新鮮な空気を入れ換気を行います。空気の流れに注意しながら十分に喚気を行うことが感染防止に重要です。
トイレは流す前に蓋をする*
トイレでも、感染が疑われる家族の下痢やおう吐を水洗で流す場合は、必ず蓋をして流しましょう。開けたままでは、水洗の水の粒に含まれたウイルスがトイレ中に飛び散ってしまいます。
便1gには1億個以上、おう吐物1gには100万個以上のウイルスが含まれていると言われています。
*参考:厚生労働省ノロウイルスに関するQ&A(2023年1月現在)
東京都福祉保健局 食品衛生の窓(2023年1月現在)
経口補水療法を早めに開始する
感染して発症し、おう吐や下痢をした場合は、即座に経口補水療法をはじめることです。ポイントは、おう吐、下痢のピークを脱水にならずにどう乗り切るかです※。
※オーエスワンの使用は医師にご相談ください。製品の許可表示をご確認ください。
おう吐や下痢は大量の体液(水+塩分などの電解質)を失います。経口補水療法は、失った体液をその分経口補水液で補う療法であり、おう吐や下痢で出した分を入れるということです。
経口補水液を小児に飲ませる場合には、1回のおう吐や下痢の度に、体重10kg未満では60mL、10kg以上では120mLが目安となります。1~5分ごとに、ティースプーン1杯やペットボトルキャップ1杯等を1回の目安量として少しずつ飲ませます。
食事はおう吐が治まっていれば食べても良いでしょう。ただし、食事後におう吐や下痢があれば、また経口補水液を続けます。なかなか経口補水液を飲まない小児には、ゼリータイプのものがありますから活用するのも良いでしょう。
監修:済生会横浜市東部病院 小児肝臓消化器科 部長 十河剛先生
済生会横浜市東部病院 小児肝臓消化器科
部長 十河剛先生